もともとは独身者が交際相手を探したり、彼らが集まってパーティーを開くといったイベントの日を、中国EC大手のアリババが「独身者同士でプレゼントを贈り合おう」というセールイベントを企画したことから一気に話題となりました。その後、他のECサイトもこのイベントに相乗りし、いまや中国最大のEC特大セールの日として定着しています。
11/11の独身の日がECサイトのビッグセールイベントで成功を収めたため、便乗のような形で12/12日も「ネットショッピングの日」として数々の販促イベントなどが開催されています。
双十一や双十二がどちらかと言えばアリババグループ主導のイベントである一方、6/18はJD.com(京東集団)が自社の創立記念日に大型セールをはじめ、競合のサイトも同時期に販促を行うようになりました。
例年中国の小売市場が賑わう2月の旧正月(春節)、12月の年末、国慶節、端午節などの伝統的なイベントの時期は、中国の各ECサイトでも工夫を凝らしてセールを実施しています。
一般貿易は従来型のいわゆる企業間貿易(BtoB)で、通関業者に輸出申告や船積み手続きを委託し、必要な貿易書類を揃え船や飛行機で輸送する形式です。現地での通関後は自由に小売店や業務店、または一般消費者への販売が可能になります。一方、越境ECでは天猫国際(Tmall Global)や京東全球購(JD Worldwide)などの専門プラットフォームを通じ、海外から直接、もしくは中国の保税区を経由して購入者の手元に商品が届きます。越境ECはあくまで企業と消費者間のBtoCの取引に限定されるため、中国国内の小売店や業務店に商品を並べることはできません。
中国に商品を輸出する際にまず注意すべきは、諸外国と比べても厳しいとされる通関時の規制です。代表的なところでは食品の輸入規制で、関東近辺1都9県で製造されたものは一律で禁止、また肉や野菜、果物、乳製品は実質輸入が認められていません。また衛生用品や雑貨類でも原材料により輸入できない成分等がありますので、まずは貿易を委託する企業に成分確認を依頼するのが得策です。また輸出にあたり、日本や現地の販売代理店との連携がなにより重要となりますので、取引条件はもちろん、これまでの実績や販売戦略、役割分担などはあらかじめしっかり取り決めておく必要があります。
2018年の中国小売市場の総額はおよそ39兆元(約660兆円)で、毎年15%以上の成長を続けており、そのうちECの売上は全体の約4分の1に達する見込みです。最近では、WeChatなどを活用したCtoC(消費者間売買)がトレンドとなっており日本製品を大量に購入して個人間で販売する代理購入業者も目立ちますが、新たに成立する電子商務法の影響で今後は政府による引き締めが予想されています。また新小売(ニューリテール)という概念に象徴されるオンライン(EC)とオフライン(実店舗)の融合がますます加速され、さらに最新テクノロジーを駆使したビッグデータ分析による新しい店舗運営、自動化・無人化の試みが次々と行われています。
日本から中国に商品を輸出する際、現地の通関で主に「関税」と「増値税」の2種類の税金が発生します。関税は輸入品に対して通関時に徴収される税金で、増値税は、日本の消費税に相当する付加価値税になります。増値税は標準税率が決まっており多くの商品については16%、一部の特定品目(農産品や食用油、書籍、映像製品など)については10%になります。ちなみに中国でも「消費税」が存在しますが、これは日本の消費税とは異なり、タバコや酒、化粧品、高価なアクセサリー、ゴルフ用品などいわゆる輸入贅沢品や非生活必需品にのみかかる税金となります。
越境ECの売上ランキングなどで上位に化粧品や健康系食品の名前がよく見受けられます。中国人の美容・健康ニーズが高まっていることも当然ありますが、「越境ECだからこそ販売できるから」というのも大きな要因です。そもそも一般貿易の形式では化粧品や健康食品は販売許認可の申請に大変手間と時間がかかり、その時点で販売を断念する企業も多くいるのが実情です。一方越境ECルートではまだ一般通関ほどの規制が実質かけられておらず、今のところは簡易手続きでの販売が可能です。この辺りは法整備が曖昧とも指摘されているところで今後の締め付けも予想されますが、現時点では化粧品、健康食品を売るならばまずは越境ECルートで販売をスタートさせることが一般的といえます。
2017年の中国のEC市場(BtoC)の市場規模は約122兆円と言われており、その中でもここ数年で急速に伸びているのが、海外から直接消費者の元に商品が届く越境ECになります。日本から中国に商品を販売する日中越境ECの規模は2017年で1兆2978億円とされ、2021年には2兆8487億円まで拡大すると予測されています。 中国の越境ECプラットフォームの市場シェアをみると、1位は「網易考拉海購(Kaola.com)」で約21.4%、2位が「天猫国際(Tmall Global)」で17.7%、3位は「唯品国際(Vip.com)」で16.1%、その下は4位「京東全球購(JD.com)」15.2%、5位「聚美優品(jumei.com)」13.6%と続き、この5社で全体の約84%を占めています。
ASEAN(東南アジア諸国連合)でもネット通販、越境ECの分野は年々発展してきています。ただしECの普及率でみると中国と比べてまだ低く、一人当たりGDPが最も高いシンガポールでもEC化率は5%程度ともいわれています。ASEAN圏での主なECサイトとしては、近年アリババが経営権を獲得した「LAZADA(ラザダ)」がタイ、マレーシア、フィリピンなどで市場シェアが高く、ebayの資本の入った「Qoo10(キューテン)」はシンガポール等で人気を博しており、Facebookもアジア圏ではECで幅広く利用されています。決済手段はクレジットカードやペイパル、銀行振込などが今も主流で、中国のようなモバイルアプリ決済の普及はもう少し先になる見込みです。
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